愛犬の認知症と向き合う

最近は医療の発達のおかげで、天寿を全うできる犬が増えてきました。それは喜ばしいことなのですが、その代わりに認知症になってしまう犬が増え、飼い主が介護に追われるというケースが頻繁に起こるようになっています。そう、犬の介護は珍しいものでは無くなってきたのです。犬を飼っている人であればだれもが直面する可能性のある問題です。長い間一緒に暮らしてきた家族だからこそ、最後まで面倒を見てあげたいものですね。

犬の認知症、いわゆるボケの症状はいろいろありますが、代表的なのは【飼い主の指示が聞けない】【トイレの失敗が増えた】【徘徊する】【夜鳴き】などでしょう。中には攻撃的になる犬もいて、そういった場合は飼い主は手を焼くことになります。攻撃的になってしまった場合は、獣医さんと相談し、安楽死を選択する人もいるようですが、これは責められません。ぼけた犬が噛みつく場合、甘噛みなんてものでは無い場合が多く、大けがをするため、介護ができないからです。保健所では安楽死はできないため(かなり苦しい殺処分をされる)病院にかかるのが正解でしょう。

攻撃性がない場合は、介護をするようにしましょう。トイレの失敗はおむつでカバーできます。食欲が落ちた場合は流動食や缶詰など、食べやすいものを中心に与えましょう。年を取ると匂いに反応しにくいこともあります。その場合は軽く温めてあげると、香りが立ち込め食欲を刺激することもあるようです。夜鳴きや徘徊については飼い主が付いていてあげるか、犬が落ち着くものを与えるかしてあげるしかありません。大変でしょうが頑張ってください。

飼い主が常に話しかけてあげ、散歩に連れて行ってあげることによって、ボケの進行が遅くなることがあるようです。脳への刺激がきっと老化を食い止めてくれるのでしょう。【ボケたからもうだめだ】と思わず、ボケの症状が少しでも見られたら、積極的に動かしてあげると良いでしょう。痴ほう症になるほどの老犬なら、足腰もきっと弱っているはず、ゆっくりまったり、愛犬のペースに合わせ風や風景を楽しむように動きましょう。歩けない犬の場合、犬用のドッグカーが販売されていますので、そういったものに乗せ、外に連れ出してあげるといいですね。年を取っても犬は散歩が大好き。脳への刺激にもなるので積極的に外に出してあげましょう。

悲しいお話をしますが、犬の寿命は長くて20年。たいていの犬は15年ほどで飼い主家族とお別れすることになるでしょう。介護が必要になった時点でお別れの時が近いことは覚悟しましょう。犬は最後まで飼い主家族を案じながら生きます。それはボケても同じです。犬は愛情深い生き物。愛情を与えた分、しっかり愛情を返してくれます。愛犬の最後の一瞬まで愛を注いであげてください。介護は大変ですが、今まで一緒に暮らしてきた年月とは比べ物にならないくらい短い期間で終わってしまいます。愛犬との最後の時間をもらったのだと思って一杯語り掛けてあげましょう。