飼い主の指示を聞けないということは、飼い犬としては致命的な欠陥です。と言うのも、飼い主の言うことが聞けない=いざとなった時に犬を止めることができないということですので、犬が他の犬や子供、小動物を襲ってしまうことも考えられるからです。人間社会には人間社会のルールがあり、飼い主の言うことを聞けない犬はそのルールを守ることは到底できません。やはり、ペットとして一緒に暮らすには、飼い主の指示が聞ける犬でないとダメなのです。

犬が、飼い主の言うことを聞かないことを【アルファ症候群】と言います。野生のイヌ科の動物はアルファ、つまりリーダーのオスを中心に群れで生活しています。群れには秩序が必要なため、群れの仲間はアルファに忠実に生きなければならないのです。

人間とともに暮らすようになった犬にとってのアルファは人でないといけません。ところが、飼い主がこのアルファの役目ができていない場合、犬が【俺がアルファだ!俺の言うことを聞けよ!】となるんです。

そうなると大変です。飼い主が指示を出しても【俺がアルファなんだから聞く必要なんかないね】と思い、無視をするのです。それだけならまだしも、【早く餌をよこせ!】や【俺に指図するな!】、【俺が気持ちよく寝てるのに近くを通るな!】など図に乗って、しまいには攻撃を加えようとしてしまいます。

昔は番犬として外で飼われ、過剰な可愛がり方はされていなかったのですが、最近では「ちょっとやりすぎなんじゃ?」と思うような可愛がり方をしている家庭が増えてきました。そのため、このアルファ症候群にかかる犬が増えてきたように感じます。特に、飼い主家庭に子どもがいる場合、子どもと同列に犬を扱うせいで、子どもを自分より下の存在、あるいはライバルとして思い、子どものアルファになろうとしてけがをさせてしまうと言うパターンが目立ちます。これらはすべて飼い主の責任。犬の習性を知って、きちんとしつけましょう。

犬にとってのアルファになるためにはまず、放し飼いにせず行動範囲を狭めることから始めましょう。家の中でもリードを付け、部屋の隅っこに犬を追いやります。野生の犬の群れでは、下位の犬ほど群れの端で生活をし、群れの中心にいるのはアルファです。この位置関係を覚えておきましょう。

さらに、無駄に声をかけてはいけません。きちんと主従関係ができていれば、犬は声をかけてもらえた!と喜ぶのですが、アルファ症候群の犬は【下位のやつがご機嫌取りの為に俺に声をかけてきた】と思うでしょう。声をかけるのは指示を与える時とほめる時、叱るときだけです。褒める時は短く、過剰にしないようにしましょう。

散歩の時は、引っ張らせてはいけません。人の前を歩かせないようにします。犬が自分より前に出たら方向転換して反対側に行きます。それを繰り返せば絶対に人の動きを見て歩くようになります。散歩のペースはアルファが決めるものです。人が歩く速度に合わせるようにしましょう。

フセ、スワレ、マテを毎日必ずさせましょう。飼い主の指示を聞く、これを身に着けさせないといけないからです。特にフセは主従関係ができていないとなかなかできない姿勢ですので積極的に行ってください。犬が集中できる時間は10分程度ですのでもし、集中させるのでしたらそれくらいの時間で辞めるようにしてください。できれば、毎日の生活の中に取り入れるようにするのがいいですね。

一度アルファ気分をせしめた犬は、もう一度アルファに返り咲こう!と虎視眈々と狙う傾向があるようです。ですので、一度矯正したからと言って服従訓練をやめるようなことはしないでください。